
会社の経営って本当に不思議なものです。2つの異なる会社を例に挙げるとすれば、同じ業種で、同じ資本金で、同じ優秀な人間が、それぞれ経営に携わっていながら、一方は業績好調で発展、一方は業績低迷で破産するという正反対の結果になることも少なくありません。

経営手法の違いで結果に差が出ることもありますね。



タイミングや時の運もあるかもね。
それでも、実際のところ、会社の経営状況の二極化には明確な理由がある場合も多く、その大部分のケースが資金を上手に使えていなかったことに起因しているのです。



資金管理ができない経営者は多いと聞きますね。
特に1人会社の場合、会社の最終意思決定者が1人しかいないために、資金管理に歯止めが利かなくなるリスクは極めて高いと言えるでしょう。



悪くないけどちょっと微妙ね。
資金管理に関して、1人会社ではどうしてもバイアスが利きにくいことから、いかに資金を管理を上手に進めていくかがかなり重要となりますが、今回は1人会社の資金管理にかかる基本的な原則を簡単に見ていきましょう。


資金管理の定義
1人会社における資金管理の定義はいたって簡単です。それはまさに、「資金をできる限り使わない」ことに尽きます。



簡単なようですごく難しいですね。
商売をするにあたって、資金を多く使わなければ利益を出せないという考え方を持つ経営者は意外に多いものですが、1人会社を経営するにあたっては、これはむしろ余計な考えとなるでしょう。



この考え方は意外な落とし穴かもね。
つまり、自身の役員報酬なども基本的に低く設定すべきなのはもちろんのこと、本来必要のない経費に対して、大切な資本金を意味もなく投入するなど絶対に避けなればならなりません。



1人だからこそ無駄が出やすいのですね。
また、1人会社の資金管理の定義の中で、もう1つ絶対に忘れてはいけない重要な要素が、金融機関から資金の融資や借り入れを基本的に受けないようにすることです。



資金を借りる前提で会社経営してはいけないね。
また、自己資金の乏しい状態が常態化してしまうと、借り入れによって調達した資金だということを認識しにくくなるでしょう。そのため、資金を使わない前提での経営は皆さんの想像以上に意義が大きいのです。
その一方で、金融機関からの融資や借り入れのない企業は、債務超過に陥っても経営を継続できる可能性はかなり高くなり、実際にそれを達成している企業は数多く存在しています。特に、1人会社は財政基盤が薄いことから、この部分はとりわけ肝に銘じなければなりません。


クレジットカードの活用と注意点
1人会社の経営に、資金管理の一環としてクレジットカードを活用されている方は少なくないと思いますが、当方も日常的にクレジットカードを資金管理に積極的に使用しているものの、消費ごとに厳格な管理を進めています。



クレジットカードは経営に大いに役立ちそうですね。
クレジットカードは法人名義が絶対に必要と言うわけではなく、1人会社であれば社長個人名義のカードを直接活用しても問題ありません。ただし、一旦会社用にしてしまうと、業務に関係のない消費項目での活用はできなくなるので注意が必要です。



公私混同しないようにカードを分けるべきね。
そして、クレジットカードを活用して資金管理をする上での最も重要な視点と言えば、消費のたびに「負債」が発生したと確実に認識することです。



お金が湧いてくる訳ではないですからね。
しかし、現状を見てみるとクレジットカードを活用することが、「資金を使わずに消費できること」であるという間違った認識をしている方も少なくなく、経営者であっても意外などほ多くの人がこのような認識に陥ってしまうようです。



倒産した会社ってこういう経営者が原因だったのかも。


固定収益に潜む危険性
経営も一定期間継続していくと、信用力の向上も相まって、業務によっては固定収益を得られるようになっていきます。



会社としては多く持ちたい業務ですね。
そして、そのような業務がいつ発生するかは会社によって異なるものの、固定収益が発生すると多くの経営者にもさまざまな欲が出るようになってくるはずです。



これは固定収益あるあるね。
もちろん、すべてが順調であれば理想的ですが、ここで最も重要なのは「順調である」か「順調でない」かを判断することよりも、この固定収益が「いつ突然途絶えてしまうか」という心構えを持つということです。



危機管理意識が必要となりますね。
実際、固定収益は新興企業にとって珍しくない落とし穴であり、特に資金調達によって急拡大を仕掛ける企業にとっては大変危険な存在だと言えるでしょう。


永遠に経費最小化
どんな大きな企業も赤字にならないというのはかなり難しいもの。それでなくとも、1人会社では万年赤字というところも珍しくはないですが、それでも経営を継続できているのは、金融機関などからの借り入れをせずに、なおかつ経費を最小限に抑えていることが背景にあるからです。



日頃からの経費節減の積み重ねが大切ですね。



多くの経費は不要不急のものだしね。
そのためには、ただちに良好な経費バランスをシミュレーションできる仕組みを自分なりに構築することが求められ、Excel表などを活用して資金・経費分析を総合管理し続けることが重要になります。


【1人会社の資金管理と経費最小化の原則】のまとめ
資金管理は収益管理と表裏一体です。どんなに一時的に収益を上げることができても、経費をコントロールする仕組みがなければ収益が生みだす効果は著しく減少してしまうのです。



どんなに稼いでも支出が減らなければ収益化できないですね。
個人でも収入がそれほど多くないときは、積極的に経費節減をしますが、ちょっとでも収入が上がると無駄に消費し始めることが多くなります。そして、収入が減るとまた経費節減の繰り返すという悪循環に陥るでしょう。



人間の欲って本当に面倒だよね。
しかし、会社の資金管理において、この流れは決してやってはならないことであり、いつ現在の収入が途絶えてしまうか分からない状況を想定しておかなければなりません。
そのためには、経費は常にその必要性を厳しく判断しながら、最小限に抑えていくことが大前提となるのです。