
自分のビジネスを展開したい場合、個人自営業から始める方もいれば、満を持して会社設立される方もおられるはず。
まあ、いずれ会社を設立するのであれば早いほうがいいということで、いきなり会社設立というパターンも決して悪くはありません。

私たちもその予定です。
ただ、最低でも知っておくべきは、会社の設立とは、「法人(自然人でないけれど、法律上において、人として便宜上認められた存在)」を立ち上げるということ。
つまり、本来的な個人とは異なる「別の人格」を構築できることから、会社の設立とは想像以上に大きな意味を持っているのです。



なるほど!
今回は、この会社名義、つまり法人名義の銀行口座の開設の難しさに焦点を当て、様々な視点から分析してみましょう。
法人名義の銀行口座開設が格段に難しくなった!


法人設立目的や資本金基準の審査も厳格に
もともと、法人名義の銀行口座は個人名義のものよりも開設が難しかったのですが、現在はそれに輪をかけて難しくなっているのが現状です。
少し前は、法人名義の口座は、設立時の書類などあれば開設しやすかったものですが、最近はその書類も詳しく精査されることも多くなっています。



そうなんですね。
また、金融機関の中でも「ゆうちょ銀行」は、法人名義でも割と口座開設しやすかったことで有名だったのですが、各エリアの貯金センターでの一括審査方式が徹底されたことで、開設できないという事例も多くみられるようになりました。
その法人設立目的と資本金は、バランスが重要。例えば、目的が多いのにも関わらず、資本金が10万円にも満たないなど、客観的に会社としての方向性に疑問や矛盾を感じるようなケースであると、結果的に開設できないという事態は十分に起こり得ます。



金融機関も慎重になってるね!
特に、資本金に関しては、著しく低く設置している経営者も多いことから、金融機関側が現実的な金額を確実に見極めている状況で、100万円は最低でも資本金を用意しておきたいところでしょう。
個人名義口座さえも新規開設が難しい時代
しかし、現在はその個人口座さえも開設が難しい現状。多くの方は、ご経験があるかと思いますが、基本的に個人口座でも開設の目的を真っ先に尋ねられることがほとんどでしょう。



確かに。
かつての銀行口座は、開設してくれるというだけで無条件に喜ばれたもの。それが今では、長く続くゼロ金利により、銀行は預金を抱えることを無意味なものと位置付けている感があり、新規開設を必ずしも歓迎しなくなっているのです。



個人で口座を持てないとすごく不便ね!
そのため、法人名義の口座開設がより難しくなっているのは、必然的なお話。今後も法人口座は、新規開設が簡単になることはまずありません。
法人口座がなくても会社経営そのものは理論上可能


代表者の個人口座を併用して運用するやり方
それでは、法人名義の銀行口座を持てない会社が、どうやって会社経営をするのかというお話をしてみましょう。結論から言えば、法人名義でなくても、代表取締役名義の口座を使うことで運用はできます。



これは初めて聞きました。
ただ、1点だけ注意したいのが、代表者名義の口座は名義上個人名義であることから、一旦会社業務用に固定すると、プライベートでは絶対に使ってはいけないということ。
それは公私混同と見なされることが大きな理由で、場合によっては税務署からも指摘されることもあるからです。例えば、代表者名義の口座をA銀行とB銀行にそれぞれ開設しているとすると、
というように、普段プライベートで使う代表者名義の口座とは別のものを、あらかじめ準備し、確実に使い分けていくことが求められます。



財布を分けるのと一緒ね!
これにより、仮に法人名義の口座がない状況であっても、当面は代表者名義の口座を上手く使って業務を進めることはできるでしょう。
現金決済での融資を受けない小規模ビジネス
それでも、代表者名義の口座だけで運営するとなると、現実的に対応できる業務形態が限られてきます。典型的な例としては、対面販売などで現金決済のみを受け付ける店舗経営などです。
つまり、毎日の売り上げを現金で受け取り、それをその都度口座にしまい込むという単純な流れ。会社として存在しているものの、会社名義の口座がない状況では、資金を手作業で管理することが日常的に頻繁に発生するようになるでしょう。



これはちょっと不便ですね。
というのも、法人契約している顧客からすれば、振込を代表者名義の口座にしていることが非常に不自然。経営者もさすがに不便を感じるようになり、個人事業主としてやっていたほうが簡単でよかったとさえ思うようになります。



法人で個人口座だけでは限界があるね!
そのため、代表者名義の口座だけでの運用は、たとえ小規模ビジネスであっても問題が続出してくる可能性が高いのです。
法人口座を持てないデメリットは長期的に無限大


そして、法人口座を長期的に持たないままにしていると、非常に大きなデメリットへと変わります。それは特に、次の3つに分けられるでしょう。
法人口座は設立時が一番開設しやすい
まず、知っておくべきは、法人名義の口座を1つも持っていない期間が長くなればなるほど、その会社では法人名義の口座を持つことが難しくなるということです。
冷静に考えてみましょう。金融機関からすれば、「会社設立から数年経っているのに、なぜ口座開設しなかったのだろう。」と思うわけで、それまでどうやって経営してきたのかと疑問に感じられてしまうと思いませんか?



怪しまれますね。
さらには、「この会社には、何か構造的に問題があるので、今まで開設できなかったのでは?」と勘繰られる場合もあり、結果的に口座開設を断られたという事例も実際にあります。
それは、やはり会社が真っ新の状態で、今後の展開が誰にも読めないけれど、発展していく余地があると判断されやすいからでしょう。



何ごとも早いほうが有利ってことね!
そのため、法人名義の口座は、会社設立したときは、数か月かけてでも最低1つは開設しておく必要があります。いずれかの口座を1つでも作っておけば、今後、別の金融機関での口座開設の際にも説得力が備わりやすくなるのです。
新規の契約が総合的に締結しにくくなる
自身の会社としての実績も確かで、関係もよほど良好な取引先であれば、法人名義の口座がないということを多めに見てくれるかもしれませんが、新規の顧客となると決してそうはいきません。
上の項でも少し触れましたが、「法人なのに法人名義の口座を持っていない」という状況は、契約判断の面からも、絶対に好ましくないでしょう。



取引先から見ても疑問ですね。
経営者としては、今まで問題なくやって来たと思っていても、この部分は、その実績を大きく削いでしまうほどの大きなマイナスとして顧客には映ってしまうのです。



会社が成長しにくくなるね!
会社の信用度にも確実に悪影響していく
また、新規の契約が締結できないとなると、会社の信用度にも悪影響していくのは決して避けられません。
特に、顔の見えないネット上で、法人の信用性を判断する場合、法人名義の口座の有無は大きくモノを言います。



顔が見えないからこそ信用度が重要ですね。
ネット上では、会社と謳いながら、実は何の法人格もない名前だけのモノもあります。その場合に、法人名義の口座情報の開示は、法人としての存在確認だけでなく、契約時の信用度を確保するために大きく役立つのです。



法人名義の口座の有無は信用の証ね!
そのため、明らかに法人でありながら法人名義の口座を持っていないという状態は、長期的な信用面から見ても、決して望ましいことではないでしょう。やはり、会社としての姿を証明するという意味でも、何とかして法人名義の口座を開設しなければなりません。
まとめ
最近は、ネット上でも、法人名義の銀行口座開設の代行業務サービスを見かけるほど。つまり、法人名義の口座開設に難儀している経営者が実際に多いことを意味します。



ネットで見たことがあります。
また、近年の法人名義の口座開設では、金融機関によって事業計画書や財務諸表の提出まで求められる場合も。これから見ても、会社として実績のない設立当初のほうが口座開設しやすいということが理解できるはずです。



本当に厳しいね!
会社設立前に、銀行の担当者などに事前相談することも1つの方法。設立しようとする会社についての情報を提供することで、開設のためのアドバイスをもらえることもありますので、早めに準備しておくこともスムーズな開設のために重要となります。