
1人で会社を経営し始め、すでに一定の月日が過ぎていますが、友人や知り合いからも常に言われ続けているのが「会社経営なんて大変ね」という言葉。

会社経営と聞くだけで難しそうに感じますね。



なかなか休むこともできないかもね。
しかし、地方都市に住んでいる方から言わせれば、普通のサラリーマンとして過ごそうとする場合、地方で自分に合った仕事に巡り合うのはかなり難しいのです。



地方に住んでると自分に合う仕事って本当少ないですね。



かといって、東京や大阪に仕事探しに行くのも不便だし。
「仕事なんて選ばなければいくらでもあるよ」という人がいるものですが、当方、正直なところ、決してそうは思いません。なぜなら、仕事そのものが日本各地で減ってきているからです。
ここでは、当方がおすすめする1人会社とは何なのか、そして、当方の経験に基づいた1人会社についての基本的な考え方についてお話していきましょう。


経営者自身のための生活基礎
一般的な会社経営ではスタッフのために雇用を守るという側面が大きいですが、何より1人会社は経営者自身を守るという側面が非常に強いということです。



1人だからこそ自分のための会社になるんですね。
まず、会社を作ることで経営者自身も社会保険・厚生年金に加入できるという大きなメリットがあります。実際、法定福利に関して言えば、終身雇用のなくなった日本のサラリーマンにとっては想像以上に大きな不安定要素となっているのです。



失業した時に一番困るのは絶対にこの部分ね。



自分の会社で社会保険に入れるって大きなメリットですね。
しかし、社会保険・厚生年金の場合、その月の給与に応じて保険料が決まるので、あらかじめ経営者の報酬を低く設定しておけば、保険料が低くなってかなりの経費節減にもなります。



自分への給与額を低くすれば保険料も安くできるのね。
もちろん、保険料が低ければ厚生年金は将来的に給付される年金額は低くなりますが、社会保険に安く加入できること自体が最大のメリットだと言えるでしょう。


効率的な生活費の捻出
会社経営には常に「経費」というものが発生します。つまり、会社が売り上げを作るために掛かった費用はもちろん、業務を進めるために掛かるスタッフの給与や事務所の家賃など、会社を維持していくために必要なすべての出費を意味します。



経費ってよく聞くけど、明確な定義があるんですね。
しかし、1人会社の場合、経営者しかスタッフがいないこともあって、実質的に経営者の生活費を会社の「経費」として捻出しやすくなるのです。一般的には、自身が使う日用消耗品などを会社用として購入するパターンが最もメジャーでしょう。



会社設立すべき大きな理由はここなのね。
つまり、会社収入全体から、経営者個人にも有益となるような合理的な経費の計上を進めることが重要となり、それをよりスムーズに進められるのが1人会社だということです。
もちろん、経費にできない出費項目も存在しますが、個人事業者と比較すると工夫が非常にしやすくなります。


対外業務獲得の迅速化
どんなに小さな会社であっても、1人会社であっても設立をすれば、「法人格」を得ることができます。つまり、会社を個人が経営しても、会社自体が法律上においてはもう1つの人格として認識されるのです。



経営者の分身が作れるってことですね。



でも、人格がもう1つできて何か役に立つの?
世の中には、不思議なことに個人名義では受注することが難しい業務も数多く存在し、個人で業務を進めるには一見理不尽に感じられる場合があります。
しかし、明らかに個人が業務を行うのにも関わらず、表面上「法人成り」をした1人会社であれば、対外的に業務を獲得できる確率が桁違いにアップすることも少なくないのです。



会社というだけで印象が変わるんですね。
もちろん、会社設立した後、会社名義の銀行口座を開設できて、初めて本当の意味で会社としての信用が得やすくなっていくことになります。



会社設立しても銀行口座開設できない場合もあるのね。
また、同一業務であっても個人として取引をする場合、取引先からの売上金は所得税分が控除されて入金されることも良くあります。法人対法人であれば所得税控除されることはほぼないので、この部分でも法人として業務を行う方が有利なのです。


長期経営で個人信用力アップ
今の世の中、個人として誰しも信用を維持しながら生活をしています。しかし、残念ながらさまざまな原因により、個人的な信用を失ってしまうこともあるのです。
そして、個人的な信用を失った場合、真っ先に思いつく悪影響と言えば、以下のようなものが挙げられるでしょう。
● 住居賃貸
● 銀行口座開設
● クレジットカード申請
このうち、個人的に最も面倒になると思われるのが住居。当たり前かもしれませんが、日本では高齢になるほど個人名義での賃貸が困難になるとされます。
しかし、法人名義であれば、実質的に経営者個人が住むための住居であっても契約がしやすくなるだけでなく、契約締結に必要な連帯保証人を経営者自身に設定できます。これは非常に大きなメリットです。



アパートなどを借りやすくなるのはすごく魅力的。



連帯保証人って今誰もなってくれないからね。
現在は驚くことに、個人名義でも銀行口座開設が困難になっています。長年のゼロ金利政策により、銀行側も預金を預かって運用することに全く意義を見出さなくなっているからです。
そのため、個人的な信用力の維持は日本人にとって非常に大きな課題なのですが、意外に多くの日本人がこの部分を認識していません。



日本では年齢を重ねるごとに信用を得にくくなりますね。
また、近年は急速にキャッシュレス決済が浸透していることもあって、クレジットカードがなければ決済できない不便さを感じる状況も多くなっています。
クレジットカードは、その名の通り信用力の象徴たるものですが、1人会社はその信用力にも良い影響を与えてくれるのです。



自分の会社の存在が信用力維持にも役立つということね。


他者に左右されずに運営設計
会社に他にスタッフが1人でも在籍していると、いくら経営者であっても自分だけの都合で運営内容を設計できないこともあります。



会社で人材を雇用するということは大変な意味を持つのですね。
それは、カリスマ性の強い経営者が率いる少数精鋭の企業であればなおさら、リーダーシップだけでは運営がスムーズにいかないことも非常に多いのです。



同じ人間だから管理が大変なんだね。
そのため、経営者が長期的に安定した経営を進めていくには、運営設計を1人で策定し、それを1人で実行していくことがベストな方法となります。
つまり、最初から1人で会社を運営する体制を作っておくことで、長期的な運営設計も誰にも左右されずに自然に構築できるようになるでしょう。



会社の最大のリスクは人材を突然失うことですね。
人材を雇用するということは、会社にとって業務を多く請け負えるという面では有利に働きますが、会社を経営者としてブレずに経営するという意味では大きなリスクにもなりかねません。



だから最初から1人でできる体制が必要だということか。


【1人会社のススメ】のまとめ
もちろん、1人会社であっても、毎年決算の時期には利益に応じて法人税はきちんと納めなければなりません。
しかし、法人であることで、会社の一年間の利益と損失を合算できる大きなメリットがあり、1人社長としても資金管理リスクを分散しやすくなります。ここで、1人会社の経営について再度まとめますと、
1人会社と言っても、基本はスタッフを雇用している会社と同じです。社会保険や厚生年金に経営者も加入でき、それでいて経営者の生活基盤としても機能しやすいことが特徴となります。
1人での業務であっても法人化することで対外業務が獲得しやすくなり、個人信用力の維持にも良い影響を与えてくれるのが大きなメリットです。
スタッフを1人でも雇用していると、会社としての運営にブレが生じる可能性が高くなり、意思決定も遅くなります。その点で、1人会社は業務遂行も迅速に行えるでしょう。
もちろん、1人会社であっても経営自体は簡単なものではありませんが、設立することのメリットをしっかりと自分の現状とすり合わせることで、経営する意義もより大きくなるでしょう。